| 色々あったような無かったような気がしたが |
| 何とかかんとか到着した俺はやっと風呂に入り |
| 一休みと行きたい気分だったが大将軍は |
| 俺を熱烈歓迎即居酒屋なのであった。 |
| その後2、3日滞在したわけであるが、 |
| その間は主に先輩S田さん宅にお世話になっていた。 |
| ありがとうございました。 |
| で、帰るんだけど。 |
| 俺は朝8時か9時に起床し |
| ソレはもう迅速に感心するほどだよ |
| ってな速さで用意したかったが出来るわけもなく |
| ゆとりのある出発をした。 |
| 恐らくは10時頃だろう。 |
| 帰りは大阪からフェリー |
| (友人の御厚意で何と1等室)で帰る予定だ。 |
| そう、そんな予定だった・・・。 |
| そんな1等客室を夢見ながら |
| (夢見ててもきちんと起きてました) |
| 例の如く高速の入り口がわからない俺は |
| やはりS田さんに電話をするのだった。 |
| 初っぱなからそんな感じの俺は |
| 基本的に安全運転にて運行いたし、 |
| 順調に進んでいた。 |
| ・・・と、その時の俺は信じていた。 |
| 高速道路なので高速に進んで |
| アッと言う間に東名高速は終わった。 |
| 大したこともなく進んでしまって申し訳ないが |
| 無事だったんだからしょうがない。 |
| 無事だとはいうものの何と! |
| 俺はソレが単車での高速道路初体験だったのだ!! |
| 間違えて出口の方に行ってしまったらどうしよう |
| とか思ったりしたがちゃんと看板見てりゃあ |
| 間違うわけがない。 |
| 此処で何かを期待していた方には申し訳ない気が |
| しないでもなくない(つまりはしてないの。御免)が |
| マジで何事もなく此処まで来ちゃったのである。 |
| なんかあまりにもスムーズすぎるので |
| チョコラビット(死語・・・ですか?)不安な |
| 俺ではあった。 |
| さて、そのまま名神高速に乗ったのだが、 |
| 天気は大変良く順調だった。 |
| でも、内心 |
| 「間に合うんか?フェリーに |
| それより俺こんなに順調でいいんか?」 |
| とか思っていたとかいなかったとか。 |
| 少しづつ不安が募っていく俺は |
| すこぉし(ホントに気持ち)アクセルを |
| 多めに開けるのだった。 |
| 遂に起こった!!! |
| お待たせ!ハプニングだ!! |
| 5kmの渋滞だ。 |
| 「なんでだぁぁぁ〜っ!」 |
| そう言ってみても渋滞がどうにかなるわけではない。 |
| 長すぎる渋滞を前にあきらめムードの俺。 |
| しかし、お家(可愛くないだろうが敢えて |
| この表現を使わせてもらう)に |
| 帰るためには前に進むしかなく |
| (それ以前に高速ではUターンできない)、 |
| 走り続けるのであった。 |
| 「こうなったらスリ抜けだ!」 |
| そう考える俺の前方に見えたのは、 |
| 赤ランプのついたパンダ車(公用)だった。 |
| ・・・やっと渋滞を抜けた俺は |
| 御厚意溢れる友人(前述)に電話した。 |
| 「フェリー間に合いますかね?」 |
| 御厚意溢れる友人は内心駄目だと感じたらしいが、 |
| 溢れる御厚意で俺にやる気と希望を与えてくれた。 |
| 友人「まだ間に合うかもしれん」 |
| それを聞いた俺は最後の望みを託し(何に?)、 |
| 再び爆走(俺の中では)。 |
| しかし、悪いことは重なるもので、 |
| なんと俺は高速(阪神だったか?)の |
| 乗り口を間違えてしまった。 |
| しかし関西の方は気前がよく(全てとは言いませんが) |
| 料金所のおっちゃんに |
| 「フェリー乗り場にはどう行けばいいんですか?」 |
| と、訪ねたところ |
| おっちゃん「そら、こっちや無い。下のあすこからや」 |
| と指さす方向は常識的には戻れない場所だった。 |
| 先程も書いたようにUターン禁止なのよ。 |
| しかし!! |
| おっちゃん「しゃあないな。気ぃつけて戻り」 |
| Uターン容認!!!!!!!!!!! |
| 後ろから迫るバスの圧迫に押されながら、 |
| 申し訳なさそうに恐る恐る我がマシンを切り返し、 |
| 正しい料金所を通過。 |
| ありがとう。あなたは関西の良心だ。 |
| しかし、船の時間は刻一刻と迫り |
| 焦りまくりの俺だった。 |
| 港に着いたはいいが南港(?)はややこしく |
| 「船何処だよ?」 |
| って感じで更に焦り俺。 |
| そして、俺が船を見たのは受付終了後だった。 |
| つまり、乗り遅れたんだね、俺。 |
| 「乗せてくれよ!次の船まで12時間もあるのよ!!」 |
| そんな俺の訴えも虚しく無情にも船は |
| 寂しげな俺を残して出航していくのだった。 |
| 一等客船が夢幻と化した瞬間だった。 |
| しかし!意外と速く立ち直った俺はこう考えた。 |
| 「港は此処だけじゃないよな。」 |
| その通り!フェリーは1社だけじゃないのだ。 |
| 早速、次の港に向かって出発、 |
| 出来るほど俺は強くない。 |
| しかし、いつまでも此処にいても |
| 北九州は近づいてこないので(そりゃそうだが) |
| 阪九フェリーっぽい港まで走った。 |
| 何故か阪九フェリーっぽい港には |
| スムーズに到着した。 |
| でもね、だが、しかし、反意を連ねるほど悲しい。 |
| そっちのフェリーも出航時刻もほぼ同じで、 |
| 次の船は同じく次の日の夕方。 |
| 12時間後!!!!!!! |
| 「ふむぅ、俺大阪に散る」 |
| と、俺が言ったとか言わなかったとか。 |
| どうする?俺! |
| どうするもこうするもどうしようもないじゃない。 |
| 宿なんかとってないよ、 |
| 今頃船でゆっくりしているつもりだったモン。 |
| でも船は明日まで来ません。 |
| 高速で帰るか? |
| たぶん途中で息絶えます。 |
| しかも結構自信あります、 |
| 事故に遭う、いや事故起こす。 |
| 危ないのでおとなしくすることにした俺。 |
| 季節は夏だし凍死はしないでしょう。 |
| そういう問題ではないのだが |
| そういう問題でもあるように思えた。 |
| 簡潔に書くと“野宿”だ。 |
| フェリー乗り場の入り口で横になって寝た。 |
| 痛ぇ、コンクリートは冷たく堅い。 |
| まさかこんなところで寝ることになるとは。 |
| 「風呂入りてぇ」 |
| 思わずそう呟くが意外に星空がイイので |
| 何となく納得してしまう俺であった。 |
| 夜もふけて人っ子独り居ない、 |
| はずなのだが人の声がするので |
| ムクッと起きあがったら |
| 「ひゃあぁっ!!!!!!!!」 |
| とか言われて驚いた。 |
| 俺は驚いたが彼女はもっと驚いたんだろう。 |
| それは驚きますってモンだな。 |
| 小汚い、いやむしろ汚い男が花壇脇から |
| ヌッと現れたら普通自己防衛本能が働いて |
| 武闘派ではない貴方でさえ防御本能によって |
| 攻撃を繰り出したりするかもしれないのだ。 |
| 猛ダッシュで逃げてたかもしれない。 |
| しかし、俺は殴られてもいないし |
| 蹴られてもいません。 |
| 逃げられてもいません。 |
| 平和的解決が出来て良かった。 |
| アベック(!?)のデートを |
| 邪魔してしまったらしい。 |
| 邪魔するつもりはなかったが、 |
| こちらから言わせてもらえば |
| 睡眠の邪魔をされたわけだ。 |
| んーでも、ごめんなさい。 |
| お互い謝りあった後、 |
| 俺は彼らがナイスカップル(つまり穏やかな人)で |
| 助かったなとか思ったりした。 |
| その後は何事もなく静かに眠った。 |
| と、思っていたのだがそこは俺の勘違いで |
| 朝(それはもう朝って呼ばれる初めの方)に |
| 目覚めた俺は早朝の冷え込みに |
| 身体を震わせながらフと気づいた。 |
| 「痒ぃ」「あ、何か痒い」 |
| 足下を見ると花壇の脇に寝ていたので |
| 蟻さんが沢山いらっしゃった。 |
| それは痒くもなるわな。 |
| でも巣に運ばれたり |
| 変なこと(深い意味はない)を |
| されなくてよかったと |
| 五体満足の喜びを噛みしめた |
| かどうかは覚えてない。 |
| 身体中(大袈裟に)虫刺されな俺は痒かった。 |
| どのくらい痒かったかというと |
| フェリーの時間までまだまだまだまだあるので |
| もう一眠りしたかったが出来ないくらい痒かった。 |
| あぁ、痒。 |
| 痒いなぁ、それに寒いなぁ。 |
| 明け方ってのは放射冷却で寒いのだ。 |
| 寝るに眠れず早く開かないかなぁ(乗り場)とか |
| 考えながら昇る朝日を見つめながら |
| (太陽を直視してはいけません) |
| ボヤーッとしていると |
| 一台のカブ(ホンダさんの原動機付自転車)が |
| 此方(正確には乗り場)に向かって |
| 走ってくるじゃないですか。 |
| 疲れから来る幻想かと思ったが |
| どうやら現実のようであり良かった。 |
| 彼は俺の目の前にマシンを停め |
| 「フェリーいつ出ます?」 |
| なんて質問をしてきた。 |
| 当然旅人に限らず万人に優しい俺(と思いたい)は |
| 何故俺がここに寝ていて |
| これからもここで船を待ち続けるかを |
| 彼に話したところ彼も実は同じような境遇 |
| (っていうほどのものだったか?)だと言うことを知り |
| 意気投合して暫く話し込んだ。 |
| で、ここから船が出るのは夕方だと知った彼は |
| もっと早くに出る船を求めて |
| 他の港目指して走っていった。 |
| 一緒に行くことを誘われたが |
| 俺にはそんな気力も体力も残っていないので |
| お断り申し上げたのだが |
| 彼が去った後に残る寂しさが |
| 何とも言えない感じだった。 |
| ふと気付くとお日様もだいぶ上がっており |
| 乗り場の入り口が開いた。 |
| ここで「良かったね」とか思っていただいた方に |
| 感謝を申しあげたいが船が着くのは夕方で |
| やはり俺はまだ当分待ち続けなければならないのだ。 |
| だが乗り場が開いて中の店も開店準備に入って |
| 何とか暇つぶしは出来そうだと思っていると |
| そこへ待望のフェリー入港!!! |
| 待ったよ、待っていたよ、 |
| 待ち焦がれていたんだ。 |
| しかし残念ながら目の前に |
| フェリーがあっても乗れません。 |
| 乗船開始までまだ数時間ありまして |
| 俺はまだ時間と戦い続けなければならないのだった。 |
| 船から降りてきた乗客を見送り |
| 何となく残るもの悲しさはあったが |
| 乗船する客が段々と増えて来たので賑やかになってきた。 |
| (殆どが長距離トラックドライバーの皆さんだが) |
| やっと開店した食堂で飯を食うことにした。 |
| で・・・何を食ったか憶えていない。 |
| ひどく高いのは憶えている。 |
| 飯を早々に食い終わって、さて、乗船 |
| ・・・と言うわけにはまだまだいかず、 |
| お土産でも見ようかって気になったが、 |
| お気に召す土産物など無く、 |
| 例の如くただひたすら座って待っているのであった。 |
| あぁ、船すぐそこなのに早く乗せてくれ。 |
| なんてことをかなり長い時間考えながら待っていた夕暮れ時 |
| 待ちに待った乗船開始! |
| 俺にとっては乗戦とも言うべき時が来たのだ。 |
| 来たのだが紳士的且つ速やかに乗り込んだ。 |
| さすが俺!と自我自賛はこの程度にしておいて |
| 乗ったわけだがバイクを停める場所は何処でしょう? |
| おびえた羊のよう(当然嘘です)に |
| 場所を探す俺にナイスガイライダーが |
| 俺を誘導してくれた。 |
| あぁ、旅って素晴らしい! |
| こんないい人に出会えるなんて |
| ・・・とかその時の俺が思ったかどうかなんて |
| 最早、俺ですら知る由もないが |
| こんな風に書く俺だから恐らく思えてない。 |
| バイクを停めたら部屋に移るわけだが |
| ここでやはり客室が二等になったのを悔いた。 |
| 時間通りにフェリーに乗っていれば |
| 一等客室でしかも既に九州上陸済み。 |
| なんてこったい。 |
| ・・・自業自得ですか。 |
| で、乗り込んだわけだが、 |
| 客室にいって驚いた。 |
| 当然、二等は相部屋なので一等より広い。 |
| が、近年の不況のせいか |
| それとも他の交通機関の発達のためか |
| 乗客が少ないので二等客船独り占め。 |
| いやぁ、広い!広すぎて・・・寂しい。 |
| とか浸っていると館内放送が |
| 「風呂入りたい奴はさっさと入れ!」 |
| の様な意味合いの事を非常に丁寧におっしゃった。 |
| 風呂!!!!!これは急がなくてはっ!(何故?) |
| そう感じた俺は電光石火で風呂に向かった。 |
| 風呂に到着した俺は思った。 |
| 「広いっ!凄いっ!!シャンプー持参!!!」 |
| と自賛してみたがシャンプー、石鹸は備え付けだった。 |
| 勿論、俺は備え付けの方を使った。 |
| 風呂上がりの俺は普段はそうではない(本当に)が |
| 「風呂上がりはビールでしょう」 |
| って事で売店にてビールとつまみ(スナック菓子)を |
| 購入し、デッキに出てみた。 |
| 海を見ながら優雅に晩酌と決め込むつもりだった。 |
| が、しかし!! |
| 海は俺をやはり歓迎してくれなかった。 |
| まぁ、歓迎されようとされるまいと |
| どのみち優雅ではない俺ではあるが(頷くな)、 |
| せっかくだからと始めたはいいが |
| 海上は風が強く、肌寒い季節だった。 |
| 少し小さくなりながら(寒いので)、 |
| ビールを飲みつつ、つまみ(ビーノ)を |
| 強風に煽られバラまきながら |
| 長い旅を振り返った。 |
| でも、なんか主に辛いので止めた。 |
| ビールを飲み終え、つまみをバラまき終えた俺は |
| 広い客室に戻った。 |
| 友人らに電話でもしようと思い立ち |
| フェリーに乗れた旨を伝えたところ |
| お土産を要求されたとかされなかったとか。 |
| 通話を終えた俺は飯を食う事を思い出した。 |
| 食堂に行ったのだが、なんか雰囲気が |
| ◯◯少年自然の家ってな感じでなかなか楽し気であった。 |
| しかし残金の少ない俺は精進料理のような |
| メニューを注文し食した。 |
| 部屋に戻る前に船の中を散策。 |
| ゲームコーナーを発見! |
| 懐かしのゲームが並んでいた。 |
| クレーンゲームの景品まで懐かしグッズだった。 |
| やはり残金不足の俺はただ画面を眺めるばかりであった。 |
| 睡眠に移った俺だったが、有人の言葉を思い出した。 |
| 「瀬戸大橋の下を潜る時、甲板に出て見ておくとよい」 |
| 「真夜中になるけど起きて見る価値はあるよ」 |
| 起床後、夜が明けて空が白んでから思い出したので |
| 俺が見たのは当然、九州の海。 |
| 門司の港が見えてきた頃に船内の売店にて |
| お土産(神戸のチョコレート)を購入。 |
| 御存知と思われるが神戸には伺っておりません。 |
| やや渋め(自画自賛)に無事、九州に降り立った俺を |
| 友人一同大歓迎でお出迎え。 |
| 俺、やや感激。 |
| 友人代表にお土産の神戸チョコレートを渡し |
| 一同帰路につく。 |
| ・・・と言ったわけで無事、九州及び自宅まで |
| 帰り着くことが出来た俺であるが |
| 何故お土産が神戸チョコレートなのか疑問に感じる人が |
| 殆ど居なかったのは俺の人柄のおかげだとしておく。 |
| 最後に、 |
| 「遠足は家に帰り着くまでが遠足です!」 |
| by 校長先生 |
| んじゃ、また何かの機会に。 |